早稲田大学法学部を年内入試で考えるとき、地域探究・貢献入試は有力な選択肢になります。ただし、この入試は「地域活動をしたことがある人なら出せる入試」ではありません。地域で見つけた課題を、早稲田大学法学部での学びと結びつけ、入学後と卒業後の貢献まで説明する必要があります。
結論から言うと、法学部の地域探究・貢献入試では、課題レポートの作り込みだけでなく、2次選考の総合試験、最終選考で使われる大学入学共通テストまで見て準備する必要があります。書類だけで完結する総合型選抜ではなく、地域での問題意識、論理的思考力、基礎学力をまとめて見られる入試だと考えてください。
この記事では、2027年度入学試験要項と早稲田大学法学部の公開情報をもとに、法学部志望者が出願前に確認すべきポイントを解説します。年度によって条件や日程は変わるため、最終判断は必ず早稲田大学の最新要項で行ってください。

早稲田大学法学部の地域探究・貢献入試とは
地域探究・貢献入試は、地域が抱える課題の解決や地域の発展に向けて、主体的に学び、社会的・文化的・学術的に貢献する意欲を評価する入試です。早稲田大学の入学センターでは、これまでの活動や経験、問題意識を踏まえ、大学で主体的に学び、その成果を地域へ還元する意欲を評価する制度として案内されています。
法学部で考えるなら、単に「地域のために何かしたい」と書くだけでは弱くなります。法律、制度、行政、自治体、権利、福祉、教育、環境、労働、防災、まちづくりなど、法学部で学ぶ内容と地域課題をどう接続するかが重要です。
たとえば、次のような問題意識は法学部とつなげやすいです。
| 地域での関心 | 法学部で深めやすい観点 |
|---|---|
| 空き家・防災・地域安全 | 自治体政策、条例、所有権、行政法 |
| 子どもの居場所・教育格差 | 教育制度、福祉、地方行政、権利保障 |
| 外国人住民との共生 | 多文化共生、労働、行政サービス、人権 |
| 高齢化・医療・介護 | 社会保障、成年後見、地域福祉、制度設計 |
| 商店街・地域経済 | 契約、消費者保護、まちづくり、規制 |
大切なのは、活動の派手さではありません。「その課題に気づいた理由」「自分が関わった事実」「法学部で学びたいこと」「地域へ返す構想」が一本の線でつながっているかです。
2027年度入試で確認したい基本情報
早稲田大学の2027年度地域探究・貢献入試要項では、法学部は募集対象学部に含まれています。募集人員は各学部で若干名です。出願時には学部を1つ選択し、学部の併願はできません。一方で、この入試は専願入試ではないため、早稲田大学の他の入試制度や他大学との併願は可能とされています。
| 項目 | 法学部志望者が確認すること |
|---|---|
| 募集単位 | 法学部として出願する |
| 募集人員 | 若干名 |
| 学部併願 | 地域探究・貢献入試内での学部併願は不可 |
| 専願か | 専願入試ではない |
| 1次選考 | 書類審査 |
| 2次選考 | 総合試験、120分 |
| 最終選考 | 2次選考合格者の共通テスト成績を利用 |
法学部だけを見ると、2026年度入試の人数統計では、地域探究・貢献入学試験の志願者数54人、最終合格者数5人と公表されています。年度で変動しますが、少人数の入試であることは押さえておきたいところです。
ただし、数字だけで諦める必要はありません。人数が少ない入試ほど、出願者のテーマと準備の密度に差が出ます。自分のテーマが法学部で学ぶ必然性まで説明できるなら、早めに要項を読み、準備に入る価値があります。
出願資格と日程で最初に見るところ
2027年度要項では、出願資格として高等学校または中等教育学校の卒業者・卒業見込み者など、大学入学資格に関する条件が示されています。高卒認定、外国の学校課程、個別の入学資格審査が関わる人は、通常の高校在学者より確認事項が多くなります。
日程では、2027年度入試の出願期間が2026年9月1日から9月10日までと案内されています。書類は郵送が関わるため、締切日だけを見るのではなく、調査書の発行、写真、検定料納入、書類印刷まで逆算してください。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 6月頃 | 要項と出願書類を確認する |
| 7月 | 地域課題と法学部で学びたい内容を結び直す |
| 8月前半 | 課題レポートの骨子を作り、学校の先生に確認してもらう |
| 8月後半 | 調査書、写真、検定料、郵送準備を進める |
| 9月上旬 | 出願書類を提出する |
| 10月 | 1次結果と2次選考に備える |
| 1月 | 2次合格者は共通テストを受験する |
出願直前に課題レポートを書き始めると、活動内容と法学部での学びをつなぐ時間が足りなくなります。少なくとも夏前には、扱う地域課題と自分の経験を言語化しておきたいところです。
提出書類で特に重いのは課題レポート
地域探究・貢献入試の出願書類には、出願書類チェックリスト、入学志願票、出願資格を証明する書類、課題レポートなどがあります。任意で課題レポート別紙を出せる場合もあります。
法学部志望者にとって特に重要なのは、課題レポートです。要項では、課題レポートについて、次の5点を書くよう求めています。
| 見られる問い | 法学部志望者の考え方 |
|---|---|
| どのようなことを地域の課題と考えているか | 「困っている人がいる」だけでなく、制度・ルール・社会構造まで見る |
| なぜその課題を意識したのか | 体験、観察、聞き取り、活動のきっかけを具体化する |
| 関連してどのような活動を行ってきたか | 参加しただけでなく、自分が考えたこと・動いたことを書く |
| 早稲田のどの学部で何を学びたいか | 法学部の学びと課題解決の接点を示す |
| 卒業後に地域へどう貢献するか | 職業名だけでなく、どう地域に還元するかを書く |
この5点は、別々の作文ではありません。読み手から見ると、「地域課題を見つけた人が、なぜ早稲田の法学部で学ぶ必要があるのか」を判断する材料です。
たとえば、「地元の高齢者支援に関心があります」だけでは、福祉学部や社会学系の学部でもよいように見えてしまいます。法学部に出すなら、成年後見、地域包括ケア、行政サービス、条例、権利保障、制度の利用しやすさなど、法学部で学ぶ理由を示す必要があります。
課題レポートで避けたい書き方
課題レポートでは、良いことを書こうとしすぎて、かえって抽象的になることがあります。次のような書き方は避けたいところです。
| 避けたい書き方 | なぜ弱いか | 改善の方向 |
|---|---|---|
| 地域を活性化したいです | 課題が広すぎて、何を解決したいのか見えない | どの地域の、誰の、どんな困りごとかを絞る |
| ボランティアを頑張りました | 活動実績だけで、問題意識が伝わりにくい | 活動を通じて気づいた制度上の課題を書く |
| 法律を学んで社会に貢献したいです | 法学部志望理由として一般的すぎる | どの法分野を、地域課題とどう結びつけるかを書く |
| 将来は公務員になりたいです | 職業名だけでは貢献の中身が弱い | どの政策領域で、どのように地域へ返すかを示す |
課題レポートは、自分を大きく見せる書類ではありません。むしろ、地域で見た事実から逃げず、まだわからない点も含めて、大学で何を学びたいかを具体化する書類です。
また、要項では出願書類は本人が作成すること、生成AIを使って作成し自分で書いたものとして提出した場合に不正行為とみなされる可能性があることも示されています。下書きの考え方を相談する場合でも、最終的な言葉は必ず自分で組み立ててください。
2次選考は「総合試験」への準備が必要
地域探究・貢献入試は、1次選考で出願書類を総合的に審査し、1次合格者が2次選考へ進みます。2次選考は総合試験で、試験時間は120分です。要項では、論理的思考力を問う総合試験とされています。
ここで注意したいのは、課題レポートだけに全振りしないことです。法学部志望者は、地域課題を語る力に加えて、文章を読み、論点をつかみ、根拠をもって考える力も準備する必要があります。
対策では、次の3つを意識してください。
| 対策 | 具体的にやること |
|---|---|
| 読解 | 新聞、白書、自治体資料、大学の過去問題で論点をつかむ |
| 要約 | 長い文章を、主張・理由・具体例に分けて短くまとめる |
| 論述 | 賛否だけで終わらせず、条件、例外、制度面の課題まで書く |
総合試験は、地域課題に関心があるだけでは乗り切れません。自分のテーマ以外の社会課題にも触れ、資料を読んで考える習慣をつけることが、2次選考の準備になります。
最終選考では共通テストも使われる
法学部の地域探究・貢献入試では、2次選考合格者の最終選考で大学入学共通テストの成績が使われます。2027年度要項では、法学部は外国語、国語、地歴・公民または数学の3教科3科目を基本とし、数学を選ぶ場合は3教科4科目になります。
| 教科 | 法学部で指定されている科目の例 |
|---|---|
| 外国語 | 英語、ドイツ語、フランス語、中国語から1科目 |
| 国語 | 国語 |
| 地歴・公民または数学 | 歴史総合・世界史探究、歴史総合・日本史探究、公共・政治経済、数学ⅠA・数学ⅡBCなど |
2027年度要項では、2次選考合格者のうち、共通テスト300点満点で240点以上の者を合格とすると示されています。つまり、2次選考に進んだ後も、共通テストを軽く見ることはできません。
特に法学部志望者は、国語と英語の読解力が課題レポートや総合試験にも関わります。出願書類を作りながら、共通テストで必要な科目の学習を止めない計画が必要です。
法学部志望者の準備手順
早稲田大学法学部の地域探究・貢献入試を考えるなら、準備は次の順番で進めるのが現実的です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 最新の入試要項を読み、法学部で出願できる年度か確認する |
| 2 | 自分の地域課題を1つに絞る |
| 3 | その課題と法学部の学びがどう接続するかを調べる |
| 4 | 課題レポートの5項目に沿って材料を並べる |
| 5 | 総合試験に向けて、資料読解と論述練習を始める |
| 6 | 共通テストの指定科目を確認し、必要点を取る計画を立てる |
| 7 | 出願書類を学校の先生に確認してもらう |
最初からきれいな文章を書こうとすると、内容が浅くなりがちです。まずは、地域課題について「実際に見たこと」「聞いたこと」「調べたこと」「自分が動いたこと」を分けて書き出してください。そのうえで、法学部で学びたい領域に接続します。

向いている人・慎重に考えたい人
地域探究・貢献入試は、誰にでも向いている入試ではありません。向き不向きを早めに判断することも大切です。
| 向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 地域課題について継続的に考えた経験がある人 | 課題レポートで問題意識の深さを出しやすい |
| 法学部で学びたい理由が具体的な人 | 地域課題と大学での学びを接続しやすい |
| 書類だけでなく筆記と共通テストにも取り組める人 | 選考全体に対応しやすい |
| 活動実績を自分の言葉で説明できる人 | 活動の意味を課題レポートに落とし込みやすい |
一方で、「早稲田に一般選抜以外で入りたいから」という理由だけで選ぶと、準備が苦しくなります。地域課題への関心が薄い場合、課題レポートの説得力を出しにくく、面接がある入試ではないから楽だと考えるのも危険です。
よくある質問
地域は地方でないといけませんか?
2027年度要項のQ&Aでは、地域について具体的な市町村・都道府県などの指定はなく、「首都圏以外」という意味も含まないとされています。一都三県を対象にしても構いません。重要なのは、場所の珍しさではなく、その地域でどのような課題を見つけ、どう探究してきたかです。
学校長推薦は必要ですか?
地域探究・貢献入試は、指定校推薦とは別の制度です。ただし、出願資格を証明する書類として調査書などが必要になります。学校側に発行してもらう書類があるため、担任や進路指導の先生には早めに相談してください。
法学部らしさはどう出せばいいですか?
法律名をたくさん並べる必要はありません。地域の困りごとを、権利、制度、行政、ルール、合意形成、政策の観点から考えると、法学部で学ぶ理由が見えやすくなります。たとえば「高齢者支援」なら福祉活動だけで終わらせず、制度の使いにくさ、地域包括ケア、相談窓口、成年後見などに目を向けると、法学部との接点を作りやすくなります。
課題レポート別紙は出したほうがいいですか?
任意提出なので、出せば有利というものではありません。課題レポート本文で説明した活動や調査を補強する資料がある場合に使うものです。活動証明、アンケート結果、制作物、発表資料などがある場合でも、要項で示された枚数や形式を必ず守ってください。
まとめ:法学部で学ぶ必然性まで言語化する
早稲田大学法学部の地域探究・貢献入試は、地域課題への関心と法学部での学びを結びつける入試です。2027年度要項では、1次選考が書類審査、2次選考が120分の総合試験、最終選考で共通テスト成績を利用する流れになっています。
準備で大切なのは、活動実績を並べることではありません。自分が見つけた地域課題を、なぜ問題だと考えるのか、これまで何をしてきたのか、早稲田大学法学部で何を学び、卒業後にどう地域へ返すのかを、一つの流れで説明することです。
法学部の地域探究・貢献入試では、「地域の課題」と「法学部で学ぶ理由」を切り離さないことが出願準備の中心になります。まずは最新の要項を読み、課題レポートの5項目に沿って、自分の経験と学びたい内容を具体化してください。

参考情報
- 早稲田大学 入学センター「地域探究・貢献入試」 https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/wacel/ (確認日:2026年9月12日)
- 早稲田大学 入学センター「2027年度 早稲田大学 地域探究・貢献入試 入学試験要項」 https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2026/05/0_tankyu2027_youkou.pdf (確認日:2026年9月12日)
- 早稲田大学 法学部「入学試験情報」 https://www.waseda.jp/folaw/law/applicants/admission/ (確認日:2026年9月12日)


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